ステンレスとは
ステンレス鋼は英語で「stainless steel」と言い、ステンレス(Stainless)は、汚れ(Stain)と無い(Less)を合わせた造語です。 文字からいくと汚れない・錆びないという意味になりますが「さびにくい」という意味も含まれます。
ステンレスはサビにくい金属であるため、寿命がきても廃物にならず、ほとんどが高品質なまま回収されて再利用されています。ステンレスは100%リサイクル可能な金属です。
ステンレス鋼の特徴
鉄(Fe)を主成分(50%以上)に、クロム(Cr)を添加していくと段々とさびにくくなっていき、10.5%以上添加した合金をステンレス鋼と呼びます。他の材料に比較すると近年使用量が急激に伸び、その生産量をみると、現在国民一人当たりが一年間に熱間圧延材ベースで30㎏程度の使用に匹敵する量となります。ステンレス鋼の使用量の増加はステンレス素材のすばらしさによる用途の拡大と、製造技術・加工技術の向上によるものでしょう。
ステンレス鋼は鋼材のJIS規格(耐熱鋼規格を含む)だけでも100種類以上の鋼種があり、さらに各社が開発した独自鋼種があります。これら数多くの種類のステンレス鋼がそれぞれ適した用途に使い分けられています。
名前の示す通りステンレス鋼は一般の鋼に比較すると極めてすぐれた耐食性を有する材料ですが、特定の環境、使用条件の下では「さびる」ことがありますので正しい使い方をする事が大切です。
錆びに強いしくみ
鉄にクロムを添加するとクロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護皮膜 (不動態皮膜)を生成します。この不動態皮膜がさびの進行を防ぎます。また、この不動態皮膜は100万分の3mm程度のごく薄いものですが大変強靭で、一度こわれても周囲に酸素があれば自動的に再生する機能をもっています。
清潔、環境、リサイクル、地球にやさしいステンレス
ステンレス鋼は強度・耐食性の他に、耐熱性・加工性・意匠性などにも優れた特性を備えており、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。
環境に対する社会の関心が高まるなか、100%リサイクル可能な材料として高く評価され、大変注目されています。
暮らし・社会・未来環境など様々な分野でステンレスの需要は拡大しており、生産量は約50年間で30倍以上にも達しています。
種類
オーステナイト系
鉄に18%のクロム(18クロム)、8%のニッケル(8ニッケル)を添加したSUS304が代表的です。オーステナイト系ステンレスは一般に延性および靭性に富み、深絞り・曲げ加工などの冷間加工性が良好で溶接性も優れています。さらに耐食性にも優れ、低温・高温における性質も優秀です。これらの優れた性質のため用途は広範囲にわたっており、家庭用品、建築・土木用、自動車部品、化学工業、食品工業、合成繊維工業、原子力発電、LNGプラントなどに広く用いられています。
製品形状は薄板が最も多く、その他、厚板、棒、管、線、鋳物など全般にわたり、製造量は全ステンレス生産量の60%を越えます。
析出硬化系
熱処理(析出硬化処理)によって非常に高い硬度が得られるステンレスです。
オーステナイト・フェライト系(二相系)
オーステナイトとフェライトの二つの金属組織(二相)をもつステンレスです。
物理的性質はフェライトとオーステナイトのほぼ中間です。また、耐海水性・耐応力腐食割れ性に優れ、そのうえ強度も高いという性質があります。これらの特性により、海水用復水器・熱交換器および排煙脱硫装置などの公害防止機器や各種化学プラント用装置に用いられています。製造される形は主に厚板、管、鋳物などです。
フェライト系
代表的なものはSUS 430の18クロム系のステンレスです。
このグループのステンレスは熱処理により硬化することがほとんどなく、焼なまし(軟質)状態で使用されます。また、マルテンサイト系ステンレスより成形加工性および耐食性が優れており、溶接性も比較的良好であるため、一般耐食用として広く用いられています。例えば厨房用品、建築内装、自動車部品、ガス・電気器具部品などで、主に薄板および線の形で使用されています。
近年、精錬技術の進歩によって容易に低炭素にすることができるようになったため、SUS430LX、SUS430J1L、SUS443J1などの耐食性・成形加工性のより優れた鋼種が豊富になりました。さらに、極低炭素・窒素としたSUS444、SUS447J1、SUSXM27クラスのいわゆる高純度フェライトステンレスは、耐食性が一段と優れており、また塩化物応力腐食割れを起こしにくいため、温水機器や化学プラントなどにも用途が広がっています。
マルテンサイト系
代表的なものはSUS403、SUS410の13クロム系のステンレスです。
このグループのステンレスは、焼入れにより硬化するので、成分と熱処理条件を選ぶことにより広範囲の性質が得られます。棒鋼、平鋼の形状で使用されることが多く、高強度、耐食・耐熱性が必要な機械構造用部品、例えばタービンブレード、ポンプ、シャフト、ノズルなどに使用されます。
また耐食性のうえからは、炭素量が少ない方が望ましいのですが、反面炭素含有量の多いものは耐磨耗性が優れており、SUS420(13ク口ム高炭素)クラスは刃物、外科用器具として用いられ、最高の硬さを有するSUS440(18クロム高炭素)クラスは軸受、ベアリングに使用されます。
用途例
ステンレスは多くの分野に用いられており、食卓から原子力・宇宙開発まで用途は広範囲にわたっています。そして、各用途により耐食性、耐熱性、強度、成形性など必要とされる性能は多様であり、それぞれの目的に合致したステンレスが選択され使用されています。
詳しくはステンレス協会HPを参照してください。
選び方・使い方(ステンレス鋼の特性別選択目安)
ステンレス鋼は、普通鋼に比べてはるかに耐食性に優れていますが、金や白金と違って絶対にさびない金属ではありません。
使われる環境や使い方によっては、ステンレス鋼も腐食することがありますが、環境に適した鋼種の選択、構造上の工夫などの事前の配慮と、適切な手入れなどの使用上の注意によって、長期にわたり機能を失うことなく使用することができます。
ステンレスの主な表面仕上げ
名称 | 表面仕上げの状態 | 表面仕上げの方法 | 主な用途 |
---|---|---|---|
No.1 | 銀白色で光沢がない | 熱間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの | 表面光沢を必要としない用途に使用 |
No.2D | 灰色で光沢が少ない | 冷間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの | 一般用材、建材 |
No.2B | No.2D仕上げよりなめらかで、やや光沢のある仕上げ | No.2D材に鏡面に近いロールで軽く冷間圧延(スキンパス圧延という)をしたもの |
一般用材、建材(市販品の大部分は、この仕上げ品) |
BA | 圧延後の表面を引き継ぐが一般に光沢のある表面仕上げ | 冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行ったもの、光沢を高めるため、スキンパス圧延をすることもある | 自動車部品、家電製品、厨房用品、装飾用 |
No.3 | 光沢のある、粗い目の仕上げ | P100~P120番のベルトで研磨したもの | 建材、厨房用品 |
No.4 | 光沢のある細かい目の仕上げ | P150~P180番のベルトで研磨したもの | 建材、厨房用品、車両、医療器具、食品設備 |
#240 | 細かい目の研磨仕上げ | P240番程度のベルトで研磨したもの | 厨房器具 |
#320 | #240より、さらに細かい目の研磨仕上げ | P320番程度のベルトで研磨したもの | 同上 |
#400 | 鏡面に近い光沢、若干のすじがある | P400番バフによって研磨仕上げしたもの | 建材、厨房器具 |
HL (ヘアライン) |
長く連続した研磨目を持った仕上げ | 通常P150~P240番の砥粒研磨ベルトで長い研磨目をつけたもの | 建材の最も一般的な仕上げ。 |
バイブレーション | 無方向性ヘアーライン研磨仕上げ | 多軸水平研磨により、無方向性のヘアーライン仕上げしたもの | 建材 |
No.7 | 高度の反射率を持つ準鏡面仕上げ(研磨目あり) | P600番の回転バフにより研磨したもの | 建材、装飾用 |
No.8 (鏡面) |
鏡に近い仕上げ(研磨目なし) | 最終研磨は鏡面用バフによる | 建材、装飾用、反射鏡 |
ダル | 2Dより目の粗いつや消し仕上げ | つや消しロールで圧延あるいはショットブラストして表面に細かい凹凸をつける | 建材 |
エンボス | 凹凸の浮出し模様のついた仕上げ | エッチングまたは機械的に模様を彫り込んだエンボス用ロールで圧延したもの | 建材、装飾用 |
エッチング | 化学処理により模様づけられた仕上げ | 適当な意匠図案を耐酸性の被覆材で覆い、その他の部分を腐食液(塩化第2鉄溶液)で腐食溶解したもの | 美術品、建材、厨房用品 |
化学発色 | 数種の色調が得られ、密着性、耐摩耗性が良好 | 化学的に発色したもので、硫酸に無水クロム酸を加えた水溶液(80~90℃)に浸漬着色後、硬膜処理をほどこす | 建材、厨房用品 |
酸性黒色 酸化着色 |
数種の色調が得られるが、密着性、耐摩耗性は十分でない | 硫酸に酸化剤を加えた水溶液(90~100℃)に浸漬する | 光学部品、美術品 |
塗装ステンレス | 数種の色調が得られ、加工コストが安い | 合成樹脂系塗料を焼付け塗装する | 建材、厨房器具 |
【出典】ステンレス協会
ステンレス加工のお問い合わせ
ステンレス加工のお問い合わせは ☎0820-52-3210 までお問い合わせください。
ステンレス加工 メールフォームでのお問い合わせはこちら